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札幌地方裁判所 昭和46年(む)193号 決定 1971年4月19日

被疑者 田渕秀一 外一名

決  定

(被疑者氏名略)

右両名に対する公職選挙法違反被疑事件について、弁護人山中善夫から準抗告の申立があったので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

札幌地方検察庁検察官神宮寿雄が昭和四六年四月一四日付でなした別紙第一及び第二記載の各接見等に関する指定は、いずれもこれを取消す。

理由

一本件申立の趣旨及び理由は別紙第三の「準抗告申立書」に記載のとおりであるから、これを引用する。

二(1) 一件記録によれば、被疑者両名は、それぞれ公職選挙法違反被疑事実により昭和四六年四月一二日逮捕され、次いで同月一五日札幌拘置支所に勾留されたが、同月一四日札幌地方検察庁検察官神宮寿雄より、別紙第一及び第二各記載の接見等に関する指定がなされたことが認められる。

(2) そこで右の各指定の内容を検討すると、これらは被疑者とその弁護人および弁護人となろうとする者(以下単に弁護人等という)との接見等を、検察官が別に発する指定書において指定する日時、場所及び時間に限つて許容し、それ以外は接見等を許さないことを指定した趣旨のものと解されるのであり、右のような指定がなされた場合の運用の実際もまた、検察官が被疑者とその弁護人等との接見等に関する日時、場所及び時間を具体的に指定しない限り、監獄官吏は右の指定を根拠として、被疑者と弁護人等との接見等を一切拒否する取扱いであることが認められるのである。

そうすると、本件各指定は、検察官が個別的、具体的に接見等の指定を行う場合のほかは一般的に接見等を禁止することを内容及び効果とし、その性質上刑事訴訟法三九条三項の処分にあたることが明らかであるところ、同項は、その第一項において被疑者と弁護人等との接見交通の自由を大原則として認めたうえで、捜査のため現実的支障があるときに限り、例外的にその支障のある時間を除いて接見交通可能な日時、場所、時間を具体的に指定することを許容した規定と解さなければならないから、前示のとおり予め一般的に接見等を禁止する本件各指定は右規定に違反し、その認める検察官の権限を逸脱した違法な処分といわなければならない。

三よつて、本件準抗告の申立は理由があり、本件各接見等に関する指定は取り消されるべきであるから、同法四三二条、四二六条二項により主文のとおり決定する。

(別紙第一、二、三略)

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